History of Education at University of Tsukuba

教育研究科
(現 博士前期過程・次世代学校教育創成サブプログラム・国際教育サブプログラム)


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教育研究科は筑波大学大学院の修士課程です。広い視野に立って精深な学識を授け、教育の分野における研究能力及びその専門性に対応する識見と諸能力を養うことを目的とし、スクールリーダーシップ開発専攻、教科教育専攻、及び教育学(国際教育)修士プログラムの2専攻・1プログラムを置いています。2専攻・1プログラムは連携し、学校教育、教科教育、及び国際教育に関する専門性の基礎を習得することにより、グローバルな視野と教育実践力を併せ持ち、専修免許状と修士(教育学)の専門性を教育界において活かす高度専門職業人としての教員育成を目指しています。
また、2専攻・1プログラムはその設立の趣旨に沿って、現職の教員をはじめとした社会人や留学生を積極的に受け入れるよう努力しています。
教育研究科は、筑波大学における唯一の独立した修士課程研究科です。1872年(明治5年)設立の師範学校から続く長い歴史と伝統を有しており、日本屈指の教育研究拠点として高く評価されています。

研究科紹介


研究科の教育目標

教育研究科は、筑波大学における唯一の独立した修士課程研究科であり、1872年(明治5年)設立の師範学校から続く長い歴史と伝統を有しています。 本研究科は、広い視野に立って精深な学識を授け、教育の分野における研究能力及びその専門性に対応する識見と諸能力を養うことを目的とし、スクールリーダーシップ開発専攻、教科教育専攻、及び教育学(国際教育)修士プログラムの2専攻・1プログラムを置いています。2専攻・1プログラムは連携し、学校教育、教科教育、及び国際教育に関する専門性の基礎を習得することにより、グローバルな視野と教育実践力を併せ持ち、専修免許状と修士(教育学)の専門性を教育界において活かす高度専門職業人としての教員育成を目指しています。

研究科の求める人材

学校教育の現代的な諸課題について、様々な学問を基盤にしながら深く洞察し、様々な解決方法を自ら考えてその実践にリーダーシップを発揮しようとする人材を求めます。

取得できる学位、資格

学位:修士(教育学)
資格:小学校教諭専修免許状、中学校教諭専修免許状(全教科)、高等学校教諭専修免許状(全教科)、養護教諭専修免許状、栄養教諭専修免許状、学校心理士、IB educator certificates(IBCTL、IBACTLR)、その他
(注)資格取得のためには規定の単位取得や試験合格等の条件が課されている場合があります。また、所属する専攻・コースによって取得できる資格は異なります。詳細は「資格の取得」ページを参照してください。

研究科長挨拶 (教育研究科長 清水 美憲)

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沿革

1872年
(明治5)
師範学校設置
1973年
(昭和48)
筑波大学開学
1977年
(昭和52)
修士課程教育研究科創設、障害児教育専攻設置
1978年
(昭和53年)
教科教育専攻設置(学校教育コース、国語教育コース、数学教育コース、理科教育コース、英語教育コース)
1979年
(昭和54年)
教科教育専攻に社会科教育コース設置
1979年
(昭和55年)
アセアン諸国教員研修留学生(現・外国人教員研修留学生)第1期生受入れ
1980年
(昭和57年)
現職教員派遣制度を開始、「二足のわらじの会」発足
1989年
(平成元年)
大塚地区(現・東京キャンパス)にカウンセリング専攻(夜間修士課程)設置
1990年
(平成2年)
社会人特別選抜制度を開始
1994年
(平成6年)
教育研究科ウェブサイト開設
2004年
(平成16年)
現職教員1年制プログラム開始
2006年
(平成18年)
教科教育専攻学校教育コースをスクールリーダーシップ開発専攻に改組
2008年
(平成20年)
カウンセリング専攻が人間総合科学研究科生涯発達専攻(博士前期課程)カウンセリングコースに改組再編
2008年
(平成20年)
教科教育専攻に保健体育教育コース、芸術科教育コース設置
2008年
(平成20年)
障害児教育専攻を特別支援教育専攻に改組
2013年
(平成25年)
特別支援教育専攻が人間総合科学研究科障害科学専攻(博士前期課程)に改組再編
2017年
(平成29年)
教育学(国際教育)修士プログラム設置

専攻・コース紹介

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筑波大学大学院 教育研究科は2専攻・1プログラムからなります。
スクールリーダーシップ開発専攻は学校における高度専門職業人型リーダーの育成を目的とした専攻で、定員は20名です。
教科教育専攻は7つのコース(国語教育コース・社会科教育コース・数学教育コース・理科教育コース・英語教育コース・保健体育教育コース・芸術科教育コース)に分かれており、各教科において指導的役割を果たすことができる研究的実践者としての教員を養成することを目的としており、定員は全コース合わせて80名です。
教育学(国際教育)修士プログラムは国際的視野をもった探究者の育成を目的としたプログラムで、定員は10名です。
また現在、特別支援教育専攻は改組再編により募集を停止しました。

スクールリーダーシップ開発専攻


スクールリーダーと
学習・生活支援コーディネータの養成
School Leadership and Professional Development

スクールリーダーシップ開発専攻には、教育に対する多種多様な社会的要請に応えるべく、スクールリーダーコースと学習・生活支援コーディネータコースの二つのコースがあります。スクールリーダーコースでは、学校が直面する様々な問題を冷静に分析し、行政的・制度的条件を踏まえつつ問題解決に向けて学校の組織・経営をリードすることのできる能力の育成を目指しています。また、学習・生活支援コーディネータコースでは、学校の課題に対応したカリキュラム開発や生徒指導・援助の改善方策を考え、その実践をリードすることのできる能力の育成を目標としています。

 カリキュラムと学生生活
カリキュラムは、教育学および心理学の二つの学問領域を中心として、各コースに対応する専門科目および共通科目から編成されています。現職教員等で教職経験がある場合は、修士論文に代えて実践研究報告書を執筆できます。大学卒業後ただちに大学院に進学する等、教職経験がない場合には、修士論文が課されます。
中学校および高等学校の教諭一種免許状を有する場合、所定の単位を修得すれば、教科等の別なく専修免許状を取得できます。さらに、所定の単位を修得すれば、学校心理士(一般社団法人学校心理士認定運営機構)の申請資格も取得できます。平成28年4月に小学校教諭専修免許状取得にかかわる課程が設置されました。
本専攻では、各学年にクラス担任をおき、きめ細かな修学・生活上の指導を行うことも特色です。研究指導では、専攻単位での発表会や審査会の実施に加え、個別指導や研究会が開催されています。在籍者は、教育委員会から派遣された現職の教員、学部段階で教育学や心理学以外の専門だった者、社会人特別選抜を経て入学した者、留学生等と、実に様々なキャリアを有しています。いずれの学生に対しても、懇切丁寧な指導・対応を行っています。

教科教育専攻

教科教育専攻は、国語・社会科・数学・理科・英語・保健体育・芸術科の各教科教育コースにおいて、それぞれの教科を中心とした学校教育に関する深い教育的識見と高度な専門的能力及び実践的指導力を備え、主として中等教育の各教科教育の分野において指導的役割を果たすことができる高度専門職業人としての教員の養成を目的とした専攻です。7つのコースが設置されており、入学試験もコースごとに実施します。


国語教育コース


人間性豊かな教育者をめざして
Japanese Language Education

国語科教員として、総合的な教育見識と高度な専門的能力とを備え、主として中等教育において指導的役割を果たすことができる研究的実践者の養成を目的としています。国語科という教科の性格上、単に日本語学・日本文学・漢文学・国語科教育学などの分野にとどまらず、広く言語教育を通して、生徒の人間形成の面においても優れた能力を持つ教員を育てます。国語科教員の「守備範囲」というものは実に広範です。教科書の教材だけに限ってみても,あらゆる内容のものが網羅されています。また、教科書教材以外での言語活動・コミュニケーション等を通して、随時、生徒に思考力・創造力・表現力等を養っていかなければなりません。それらにこたえられるような、豊かな人間性と実力とを具備した人材を育てていきます。

カリキュラム
中等教育全般にわたっての広い視野を修得できるように、カリキュラムは共通科目とコース別科目とから成り立っています。共通科目には、学校心理学・公教育の歴史・生涯学習論・地域教育支援論等の多彩な科目が開設されており、教員としての共通の基本的な資質が養われるようになっています。また、コース別科目としては国語科教育学・国語科教育史をはじめ、読書教育論・言語表現論・日本語学・日本文学・中国文学・古典教育論等々の科目を開設し、国語教育全体をカバーするように工夫されています。

学生指導
1年次の夏休みあけまでに、各自の目ざしている研究課題についての概要を、一万字前後にまとめ、担任教員に提出します。それについて、コースの教員が相談の上、指導教員の割り振りを行い、以後、指導教員と連絡を密にとりつつ、指導を受けていくこととなります。研究の進捗の節目として、2年次の5月に修士論文構想発表会、10月に修士論文中間発表会があり、論文作成の進み具合を発表するとともに、全教員からの指導を受けるようになっており、きめ細かい配慮がなされています。

修了生の進路
修了生の大部分は、全国の公・私立の小・中・高等学校に、国語科の教員として就職しています。その他、国立、私立の大学、短大、国立高等専門学校、附属学校等の教員になっている例も多くなっています(但し、小学校免許取得課程はないので注意してください)。また、文部科学省の教科書調査官として教育行政の面で活躍している者もいれば、自分の研究をさらに積み上げるべく博士課程に進学する例もあります。いずれも日本の国語を支える様々な分野の研究・教育面において、それぞれ枢要な位置で活躍しています。


社会科教育コース


学問的背景を持った優れた教育者の育成
Social Studies Education

社会科教育コースでは、高度な学問的背景を持った優れた高等学校教師および中学校教師の育成を目指しています。昨今、全国の教育系大学に大学院が設置されつつありますが、高等学校の教員を養成しようとしている大学院は数えるほどしかありません。その中にあって、本学大学院教育研究科の社会科教育コースは定員でも全国一の規模を誇り、毎年ほぼ20名以上の修了生を全国に送り込んでいます。中・高等学校の教師を目指す上で、自分の専門分野の学問を深めることはもちろん重要ですが、本コースではそれに加えて授業論を中心とする教育学的研究も重視しています。修士論文ではかなり広範な問題を扱うことができ、社会科・地理歴史科・公民科のいずれの教科の内容にも対応できる態勢を有しています。

カリキュラム
社会科教育コースの専門科目では、次の科目のうち6科目が必修となります。

  • 社会科教育学特講(地理歴史)(3単位)
  • 社会科教育学特講(公民)(3単位)
  • 歴史教育学特講(2単位)
  • 社会科教育学実践演習(地理歴史)(3単位)
  • 社会科教育学実践演習(公民)(3単位)

これらの授業では、自由なテーマで研究した内容を報告しながら、社会科教育についての基本的な考え方を深めていきます。特に1年次には附属学校などと協力して全員で実験授業を行なっており、大きな成果を上げています。各自の専門を深めながら、2年次には修士論文の内容により、地理・歴史・公民の三つのグループに別れ、修論指導を受けることになっています。

学生指導
1年次においては2月に修士論文のデザイン発表会を開催し、論文の趣旨と構成を発表させています。2年次に入ると、論文の内容によって地理・歴史・公民のいずれかの演習に属し、複数の教員が指導を行ないます。また2年次の10月には修士論文の中間発表会を開き、社会科教育コース教員全員がそれぞれの視点から指導を行ないます。2月に最終審査を教員全員で行ない、合格した者に対しても研究をさらに発展させるための指導がなされます。

修了生の進路
院生のほとんどが高等学校の教員を志望しており、ほぼ全員が教員採用試験に合格して教職に就いています。中には1年程度足踏みするケースもありますが、その場合でも非常勤講師などを経て多くが正式に就職しています。近年児童・生徒の減少に伴い、採用試験の難易度が増す傾向にありますが、出版社やマスコミ関係、公務員への進路も開かれており、教育学的教養を生かした職を得ています。さらに、人間総合科学研究科その他の大学院に進学して、研究者になる道も豊かに開かれています。


数学教育コース


数学教育を担い先導する人材の育成
Mathematics Education

新しい知識・情報・技術が社会のあらゆる領域での活動の基盤として飛躍的に重要になり、しかもそれらは日々変化を遂げています。このような変化の激しい社会に生きる子ども達の教育に当たる人材の養成は、今日の教育界における最も重要な課題の一つです。数学教育コースではこの様な社会的要請に応えるべく、主として中・高等学校における数学教育において中心的役割を果たすに相応しい能力を養い,また数学教育学の実践的研究者を養成することを目指しています。また近年では卒業生が、学校教育以外の場においても活躍できるような素養を身につけるための教育も行っています。

カリキュラム
カリキュラムは、教科教育科目・教科専門科目・選択科目から成っています。教科教育科目では数学科教育学の基礎的な諸理論・授業分析・教育史などを取り上げます。教科専門科目では数学の諸分野(代数学・幾何学・解析学・情報数学)を取り扱い、数学のより深い理解を目指します。選択科目は、教科専門科目、数学教育特別研究I・II、数学特別研究I・IIからなり、専門科目に関する理解を深めるとともに、修士論文作成指導を行います。

学生指導
数学教育コースでは、数学および数学教育両面における高い素養を備えた教育者を要請することを目指しています。そのため修士論文は主論文・副論文の2つを提出することを求めています。学生は数学教育学あるいは数学を主専攻として学び、各々の指導教員のもとで主論文を作成します。副論文は、数学および数学教育学のうち主専攻以外の分野について、学んだことを自ら纏めることを中心としています。

修了生の進路
修了生の多くが国・公および私立中・高等学校教員として勤務しています。それぞれの勤務校で経験を積み、研鑽を重ねた上で大学の研究者となるものも少なくありません。さらに文教行政に携わったり、官庁の上級職・民間企業(コンピュータ関連会社・教育関係出版社等)に就職する修了生もいます。


理科教育コース


中等理科教育界のリーダー養成
Science Education

理科教育コースは中等教育段階でリーダーシップのとれる理科教師の育成を主たる目標にしています。院生は、思春期の生徒の実態をふまえた科学教育の知的素養と科学各分野(物理、化学、生物、地学)の幅広くかつ専門的な知的素養の両者を統合的に修得しながら、中等教育段階の科学教育や科学各専門分野での課題をテーマに修士論文を作成し、教育学修士号および高校・中学校理科教員の専修免許を取得して、将来の日本の中核的な人材になることを目指して巣立っています。

カリキュラム
理科教育コースの授業科目は、理科教育の基礎的・基本的な知識の修得を目指す教科教育科目、中等学校の理科教師に必要な科学各分野(物理、化学、生物、地学)の知識や実験指導等の技能の習得を目指す教科専門科目、さらに、理科教育や科学各分野のより深い理解と修士論文作成を目指す選択科目の3区分からなっています。理科教育特別研究1及び2は修士論文作成のための必須科目であり、それぞれ構想発表会(1年次)および中間発表会(2年次)として実施されています。また、社会人特別選抜生のために、昼夜間開講の特別科目も用意されています。

学生指導
1、2年生にそれぞれクラス担任を配置し、修学・学生生活上の指導を随時行っています。修士論文のテーマは、理科教育学の分野、科学の各専門分野、教材開発などから自由に選択することが出来ますが、遅くとも1年次の8月までに指導教員とテーマを決めます。テーマが決まった時点から研究に着手し、3月に構想発表を行ってコース担当教員からの指導を受けます。2年次では10月に中間発表を行い、理科教育コースの審査に合格した者が、修士論文の提出を認められます。最終審査会は2月に行われます。

修了生の進路
これまでの修了生の大部分は、主に全国の高校の理科教師となっています。この他理科教育学や科学の各分野の大学院に進学したり、大学の理科教育学や他の領域の教員になっています。さらに民間企業に就いたものもいます。また、現職派遣教員や海外からの留学生も現職復帰したり、母国に戻っています。それぞれが皆リーダーとなって活躍しています。


英語教育コース


言語研究と文化研究をふまえた
英語教育のエクスパートに
English Language Education

今日、地球規模の文化交流はますます活発化しています。英語教育コースは、こうした時代の流れを傍観することなく、異文化間コミュニケーションを重視し、国際規模の人的交流を円滑にする「共通語としての英語」の習熟に、積極的に取り組むことを目指しております。
そのアプローチとして、本コースは英語の知識・運用力の獲得を学問的に考察する英語教育学を柱にしながら、英米文学および英語学の分野においても優れた研究体制を擁しています。この英語教育学・英米文学・英語学の3分野が、その独自性を保ちつつも学際的に協力し、英語教育の諸問題に取り組むのが本コースの特徴と言えます。さらに、こうした国際的な広い視野を持つ優れた人材の育成を目指しながら、学校教育関係科目も重視している点で、他大学と異なる特色あるカリキュラムを持つと言えます。

カリキュラム
「英語」の獲得に関わる教授法・評価法など、英語教育学を根幹とする教科教育科目のうち2科目を選択必修としています。また、学生は、英語教育のみならず、英語文化を形成する文学あるいは言語にも造詣を深めるために、英米文学および英語学で構成される教科専門科目から、4科目が選択必修となっています。さらに,そうした3学問領域の一層の深化を狙って、学生の専門分野に応じた2科目を選択必修としています。自分の専門分野を主体としながらも、異なる分野からの視野も広げてください。

学生指導
入学直後から、研究分野(英語教育学・英語学・英米文学の3分野)ごとに、各学生の研究テーマに対応する複数教員を指導教員としています。もちろん、受講授業に触発されたり、自主研究を進めたりしていく過程でテーマの修正があれば、指導教員を変えることも可能です。学生は、特定曜日時限ないしは随時適切な時間に指導教員の指導を受けることができます。また、社会人特別選抜入学の学生は、正規の授業のなかで修士論文指導を受けることもできます。

修了生の進路
英語教育コースは、「学校教育に関する深い教育的識見と高度な専門的及び実践的能力を備えた高度専門職業人としての教員の養成」という教育研究科の方針の下、高等学校(一部私立の中学高等学校)教員が修了生の最大多数を占めています。現職教員の教育にも力を入れていることから、そうした修了生が現職復帰する例も増えています。その他、大学・短大・高専に奉職する修了生、海外留学や博士課程に進学する修了生もおり、教職以外に従事する者と合わせて、英語教育界および英語を使用する現場において、第一線の活躍をしております。


保健体育教育コース


自ら力量を磨く創造的人材の育成
Health and Physical Education

保健体育教育コースでは、保健体育教育を学校教育全体の中で捉える視野を身につけ、中・高等学校の保健体育教師として身に付けるべき実践的能力を、幅広い教育学的な素養とスポーツ科学の基礎的知識を踏まえて育成することを目指しています。
そのため、保健体育教師の職業イメージを形成するとともに、保健体育の授業づくりに関わる基礎的知識と実践的能力を育成する科目群を配置しています。また、附属の小・中・高校で行われる研究授業や教育実習に関わる実習を各学期に設定しています。

カリキュラムと学生指導
保健体育教育コースでは、教育デザイン論、教科教育論等の、教員としての基本的な資質を養う科目の他に、保健体育科教育に関する科目、各種運動・スポーツ指導に関する科目、スポーツ科学に関する科目を受講します。体育科教育に関する科目には、カリキュラム、教材開発、授業づくり等に関する講義だけでなく、模擬授業、授業観察・分析、教育実習生のサポートを行う実習・演習が含まれています。また、運動・スポーツ指導に関する科目には、種目ごとに指導の理論と実習の科目が設けられています。

修士論文作成のための指導は、1年次から行われます。保健体育教育コースでは、授業やゼミを通じて、学校教育、教科教育、保健体育科教育、各種運動・スポーツ種目と指導法、スポーツ科学について学び、学校における保健体育教育に関する研究の構想をまとめます。授業観察・分析法を学び、教育現場での演習・実習の機会を活用して、予備調査や予備実験も行います。各運動・スポーツ種目を専門に研究する教員や、保健体育科教育学やその他のスポーツ科学を専門とする教員から指導を受けるだけでなく、小・中・高校の現職教員からもアドバイスを受けて、教育の実践現場に役立つ研究を立案・実施します。

これまでの修士論文テーマは、「ボールゲームにつながる小学校低学年のゲーム領域「鬼遊び」の教材の検討-ボール操作以外の技能と思考・判断の学習効果に着目して-」、「中学校の2年生にわたるベースボール型単元の学習効果-送球,走塁の判断に焦点を当てたゲームにおける守備及び走塁のパフォーマンスからの検討-」、「体育授業における実践的指導力を向上させる要因と支援についての検討―大学生の模擬授業における技能に関する矯正的・具体的フィードバックに着目して-」などです。テーマの選択や変更は自由で、1年次の12月までにテーマを決定します。2年次に修士論文をまとめますが、修了までに研究成果を学会発表するよう促しています。また、例年1月末には、他大学の教員・学生、小・中・高校の現職教員を含めて100名以上が集まる、体育科学系体育科教育学研究室の発表会があり、修士論文の研究成果を発表します。


芸術科教育コース


芸術教育の理論と実践を先導する
専門家の養成
Arts Education

本コースでは、新しい時代に対応する芸術教育の担い手として、高度な専門的能力と実践的能力を兼ね備えた人材の育成をめざしています。そのために教育全般に関する深い洞察力を身につけながら、一人一人の問題意識を高めていきます。また、芸術領域の専門的技能を習得していく多彩なカリキュラムを有しています。急速に変化する現代において、アカデミックな芸術の教養をふまえつつ、今日の新しいメディアや拡張する現代の芸術までを対象として、幅広く柔軟な視点から芸術教育の可能性を探究していくことを期待しています。

カリキュラム
芸術科教育コースのカリキュラムは、教科教育科目、教科専門科目、選択科目からなります。教科教育科目では「芸術科教育特講」や「芸術科教育実践演習」などの授業を通して、理論と実践の両面から芸術教育の今日的な課題について考察していきます。また、教科専門科目と選択科目は、絵画、彫塑、デザイン、工芸、美術理論・美術史、書道の各領域から構成されており、各自の関心や研究テーマに応じて授業を選択することができます。例えば、絵画領域では洋画や日本画における各種技法の習得を、彫塑領域ではテラコッタによる表現技法の習得を、デザイン領域では近現代のデザイン理論とそれを踏まえたプロジェクトの実践を、工芸領域では多様な陶磁表現を、美術理論・美術史領域では西洋・東洋の美術の思想や歴史を考察する視点を、書道領域では仮名・漢字の各種書体技法の分析とその技能の習熟をそれぞれ学ぶことができます。これらの各領域のカリキュラムと合わせて、美術論や美術教育を基盤とする芸術支援領域の授業や「芸術鑑賞論」、「芸術科教育研究」といった授業を組み合わせることで、多角的に芸術研究をめぐる最新の知見を得ることができます。

学生指導
1年次から担任教員をおき、履修方法や生活面などさまざまな相談にきめ細かに対応できるようにしています。また、芸術科教育コースのための学習室が用意されており、コース専用のパソコンや個別の学習机、コピーカード等が提供され、自習や研究のための環境が整えられています。
修士論文の指導では、研究テーマに応じて修士論文指導教員を決定し、定期的な研究指導を行います。そして、1年次において修士論文の構想発表、2年次において中間発表を行い、論文審査後には修士論文発表会を開催し、研究成果を公開します。


教育学(国際教育)修士プログラム


グローバル時代を牽引する
教育・研究能力の育成
Master of Arts in Education
(International Education)

教育に対するグローバルな社会的要請に応えるべく、平成29(2017)年4月に「教育学(国際教育)修士プログラム」を開設しました。

“Master of Arts in Education (International Education)” launched in April of 2017 to meet the global social demands for education.

教育目標/Objectives
本学位プログラムでは、教育における新しい理論と実践を理解し、国際教育に関する諸課題を研究する能力を修得することを通して、国際的視野をもった探究者を育成することを目的とします。また、国際バカロレアを含む国際的な教育プログラムの教授法、カリキュラム、アセスメントについて学ぶことができます。本学位プログラムでは、国際教育の分野を牽引する教員及び研究者として、またグローバル化する社会におけるリーダーとして幅広く活躍できる人材を育成します。

The objectives of the specialization are to develop internationally minded inquirers with a sound under- standing of innovative thinking in education and the skills necessary to plan and conduct research on issues in International Education. Students will investigate pedagogy, curriculum and assessment in the context of the International Baccalaureate (IB) and other international curricula.

求める学生像/Student profile
本学位プログラムでは異なる価値観や多様性を尊重し、思考を深めることを志向する学生を求めます。とくに、教育における新しい理論を主体的に追究し、国際教育の分野に貢献しようとする熱意を有する学生の入学を期待します。

This specialization welcomes open-minded thinkers with an active interest in educational innovation who want to make a contribution to the field of international education.

取得可能な資格/Certificates
国際バカロレア教員資格/IB educator certificates
– IB certificate in teaching and learning(IBCTL)- PYP/MYP/DP
– IB advanced certificate in teaching and learning research(IBACTLR)

カリキュラム修了要件

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教育研究科を修了するには、標準2年以上在学して所定の単位を修得し、必要な研究指導を受けたうえ、修士論文あるいは実践研究報告書を提出して、その審査と最終試験に合格することが必要です。
社会人特別選抜で入学した学生については、在職のまま大学院の正規の授業を受けられるよう、特例的履修を認めています。すなわち、特例的履修を希望する学生は、1年次で昼間に開設される科目により24単位以上(教科教育専攻)もしくは27単位以上(スクールリーダーシップ開発専攻)、2年次で夜間等に開設される科目により6単位以上(教科教育専攻)もしくは3単位以上(スクールリーダーシップ開発専攻)を履修することとしています。
優れた業績を上げた者については、別に定める単位数を修得し、論文審査及び最終試験に合格すれば、在学期間に関しては、1年以上在学すれば足りるものとなっています。 なお、現職教員1年制プログラムにおいては、その修了要件は異なっておりますので別途ご参照ください。

社会人・留学生の受け入れ

社会人の受入れ

科学技術の進歩や社会の複雑高度化に伴い、大学院における社会人の再教育の要請が著しく、法的にもその対応が図られています。教育研究科においても、在職のまま大学院の教育を受け、教育研究及び実践上の指導的役割を果たし得る学識と能力を培うことができます。本研究科では、有職者のための特別な履修条件を設定するなどして、これまでに多くの有職者を積極的に受け入れてきており、修了した多くの有望な社会人が職場で活躍しています。
入学試験についても、一般の入試とは異なる「社会人特別選抜」を設定しており、書類審査と小論文・口述試験のみで受験することができます。また、平成16年度より、新たに現職教員を対象として、修了年限を原則として1年間とした新たなプログラムが発足しました。
現職教員は一般入試、社会人特別選抜、現職教員1年制プログラムのいずれでも受験できます。詳細は学生募集要項を参照して下さい。

現職教員1年制プログラムの概要


1)現職教員1年制プログラムの特色
現職教員1年制プログラムは、大学院修学休業制度あるいは教育委員会派遣等による研修制度を活用して、短期間の集中的学習で修士号並びに専修免許状の取得を可能にすることを目的に設けられたプログラムで、次のような特色をもっています。

  • 1年間での修了を原則とすること
  • 教育実践あるいは実践的な研究において既に実績をもつ現職教員を対象とすること
  • 修了要件として、修士論文もしくは特定課題研究成果報告書の審査を必要とすること
  • 修士(教育学)の学位が授与されること
  • 専修免許状が取得できること

本研究科は、2年課程としてスクールリーダーシップ開発専攻(旧学校教育コース)と教科教育専攻を有しており、すでに30年以上に及ぶ高度専門職業人養成の実績があります。本プログラムにおいても、問題意識を有する現職教員を、その意欲や主体性に応じて集約的、選択的に教育することに努めています。また、筑波大学には、附属学校として、小学校、中学校、高等学校などが6校、特別支援教育諸学校が5校あります。
本プログラムでは、必要に応じてこれらの附属学校との連携を行うなどして、中学・高等学校等や特別支援教育諸学校の教員を対象にしたリカレント教育を目的としています。

2)現職教員1年制プログラムの指導体制
(1)履修スケジュール
本プログラムの入学後の履修については、次のような流れになっています。

  • 入学後、研究テーマと単位取得計画に沿って単位履修申請を行い、修了要件である30単位の履修を進めます。この際、入学前に大学院の科目等履修生等として取得した単位は、所定の手続きを経れば、10単位を上限として認定されます。修士論文あるいは実践研究報告書については、中間的な発表等を行い、研究の進捗状況を報告し、教員からの指導を受けます。翌年1月には、修士論文あるいは実践研究報告書を提出した後、学位論文(実践研究報告書)の査読及び最終試験があります。
  • 本プログラムの修了生については、修士論文あるいは実践研究報告書の区別なく、学位としては修士(教育学)が授与されます。また、当該単位を履修すれば、専修免許状を取得することができます。

(2)カリキュラム上の配慮・工夫
本研究科のスクールリーダーシップ開発専攻、教科教育専攻のいずれにおいても、数多くの専門的な授業が開設されています。これらの授業を履修することによって、各自の研究課題についてさらに知識を広め、また深められるとともに、関連領域の授業から、研究課題を幅広く捉え直すこともできます。

(3)修士論文(実践研究報告書)の指導体制
本研究科のスクールリーダーシップ開発専攻、教科教育専攻には、学術的または実践的な研究指導を行う教員が配置されており、幅広い立場からの研究指導が可能です。修士論文や実践研究報告書の指導においては、高度専門職業人へのリカレント教育という観点から研究指導を行います。このような指導体制の下、現職教員は自らが蓄積してきた経験を生かし、研究課題に関する考察を深めることができます。
(教育学(国際教育)修士プログラムでは、現職教員1年制プログラムを実施していません。)

留学生の受入れ Foreign Students

外国人留学生 Foreign students
教育研究科には、一般入試や社会人特別選抜を経て入学した様々な国からの外国人留学生が籍をおいています。外国人留学生には、入学試験において外国語で回答できたり、履修において英語の授業が開講される等の便宜が図られています。教育研究科の学生は、外国人教員研修留学生を含め、授業や様々な行事等を通して留学生と交流する機会が多く、またチューターとして親しく接する機会も与えられます。「国際理解」の実際に立ち会う貴重な経験ができることでしょう。

Characteristics of the program
The Committee of In-Service Training for Overseas Teachers provides a special program for Teacher Training Students.
There is a coordinator who supports this program.
The program provides Japanese language classes, specialized study in one’s major field and, school visits.
High quality support is given from advisors and tutors.
A final report of the program is published.
A certificate of the program is issued.

教育研究科では、昭和55(1980)年10月から外国人教員研修留学生の受け入れを開始しました。外国人教員研修留学生は、現職の初等・中等学校・大学教員および教育関係機関の専門職員等であり、その出身国は、アジア、ヨーロッパ、アフリカ、南米など多岐にわたっています。これまでの受け入れ総数は、平成30年4月現在で41ヶ国・338名にのぼります。外国人教員研修留学生プログラムを通じて、日本の教育および社会に対する理解を促進するとともに、学生や教員等との交流を深め、国際親善に寄与することを目的としています。
外国人教員研修留学生の研修期間は10月から翌々年3月までの1年半であり、独自のプログラムが設定されています。最初の半年(10月~翌年3月)は本学留学生センターにおいて日本語予備教育を受けます。その後は、「教育開発論」「日本の学校と教育実践」といった講義・演習や、各専攻・コースの教員による集中講義(教育経営、国語教育、社会科教育、数学教育、理科教育、英語教育、特別支援教育等)を受けます。同時に、専門教育として指導教員のもとで個人指導を受け、各自の関心に基づいて研究をすすめます。研修期間終了時には研修の成果が最終報告書にまとめられ、修了式では学長から修了証書が授与されます。
また、春季・秋季のソフトボール大会等への学内行事への参加のみならず、各種学校訪問による国際交流、文化体験、企業見学、研修旅行など日本の教育及び社会に関する見聞を広げるための様々な機会が用意されています。これらの行事を通じて、教育研究科の学生や教員だけではなく、地域の方々との交流もすすめています。
このように、外国人教員研修留学生の来学は教育研究科の国際化推進に大きな役割を果たしており、教育研究科の学生にとっても日本の教育を相対的に捉えなおす貴重な契機となっています。

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なお、カリキュラムや入試等に関する頻出質問については、「よくある質問」ページに回答例を示しております。こちらのページもご参照ください。