教育学学位プログラム(後期)

研究室紹介

高等教育論

高等教育論

担当教員

准教授 田中 正弘(たなか まさひろ)TANAKA Masahiro(東京キャンパス)

専門研究領域の沿革と概要

 高等教育論は教育学の中では比較的新しい学問分野です。また,「論」であって,「学」でないのは,「高等教育研究は,それ自体が整然とした理論的体系をもっているわけではない」(金子 2012: 58)ためです。従って,本研究室では,比較教育学や教育社会学など既存の研究手法を活用して,大学などの高等教育機関を対象とした研究活動を行います。

 高等教育論が「学」でないことは,伝統的な学問分野と比べて重要ではないということを意味しません。それどころか,高等教育論の重要性は日に日に高まるばかりです。大学は,ユニバーサル化やグローバル化などの環境変化,公的補助金の削減や学生定員割れなどによる財政難,教育研究の高度化や地域貢献の推進などの社会的な要求,ステークホルダー(政府,保護者,学生)への説明責任の強化など,いくつもの困難な状況に直面しており,高等教育研究で得られた知見を必要としています。

 本研究室は,2017年4月に設置された真新しい研究室です。伝統はまだありませんが,知力・体力のある学生とともに,これから伝統を一緒に作り上げていきたいと存じます。

【参考文献】 金子元久(2012)「高等教育論」『日本労働研究雑誌』No.621,58-61頁。


所属院生とテーマ

・大学院生

D7 石井和也 「授業内外の学習サイクルについての質的研究」
D7 田中久美子 「キャリア教育の観点を取り入れたEMの研究」
D6 栗林好子「看護系大学におけるSA制度に関する研究」
D5 古畑翼「大学卒業生の同窓生アイデンティティに関する研究」
D5 李月婷「中国における高等教育質保証への学生参画に関する研究―フィンランド・ロシア・日本との比較の観点から―」
D3 梅津静子「大学で『学び直す』サード・エイジ学生の変容的学習に関する研究-他者との学びに着目して-」
D3 森野かおり「教員養成課程におけるピアノ演奏科目の専門性に関する研究-ドイツとの比較の観点から-」
D1 田中達也「オーストリアにおける高等教育制度に関する研究」
D1 今川裕太「非教員養成系大学・学部における教員養成課程に関する研究」
M2 宇賀神政輝「IBCP(国際バカロレアキャリア関連プログラム)の日本への導入可能性の検討と工業高校のこれからの在り方について」
M2 岡林菜子「学生にとっての学業の意味付けと適応感に関する質的研究」
M2 魏一「21世紀東アジア諸国の教育改革における国公立大学の教養教育実践比較研究」
M2 山口愛佳「韓国の教員養成制度・カリキュラムの分析―教員志望者の入職に対する自信の獲得に着目して―」
M2 渡慶次理緒「国際バカロレアのカリキュラム内での一斉教育は民族的マイノリティが言語・歴史を習得する上で有効か」

・学類生(学士課程学生)

B4 佐野真優「大学生の研究室選択における関心と齟齬」
B3 内田陽人「自分探しの場としての大学の役割についての検討」
B3 樋口圭「学生の専攻・ゼミ決定の要因」
B2 髙見堂基博「医学部進学における進路意識の形成過程」

・修了生・卒業生

中原理沙(現:大阪大学助教、アイオワ大学博士後期課程修了)「STEM分野の学士課程英語プログラムに関する実証的研究―学生の教育背景に起因する課題に着目して―」
梅津静子(現:筑波大学人間系助教、D3)「外国人生徒に対する高校教師の認識構造―「受け皿」としての定時制X高校を事例に―」
古畑翼(現:信州大学教育・学生支援機構助教、D5)「卒業生の母校支援活動が大学にもたらす影響―卒業生の排他性と彼/彼女らの大学自治への過干渉をいかに回避するか―」
Chavez, Korayma, Guadalupe「The Role of Scholarships in the Decision Making Process for Study Abroad: A Case of Japanese International Students Pursuing a Degree in the United States」
澤田彬良(現:ミネソタ大学D2)「日本の大学におけるクィア(性的マイノリティ)留学生の生活経験とその支援」
岸康太(現:中央大学職員)「大学生の「不本意入学」と学生生活―目的意識の獲得に着目して―」
金沢拓也「学部生の進路選択に際して卒業論文が果たす機能について」
竹内千晴「国際共修授業への学生による教育支援に関する研究」
岡林菜子(現:筑波大学M2)「大学進学に関わる過去の進路選択について学生が持つ非納得感に関する研究」
藤本翔馬「高等教育における「リアルタイム匿名質問ツール」活用による学生の質問行動全般の変容」
佐久田幸空「大学生へのセクシュアリティ教育に関する研究」
小室優太「医学部医学科における学士課程教育の特性が教養教育に与える影響」

研究室活動の特色

 高等教育機関が抱える課題は実に多様です。その課題探求・解決方法も,実に多様です。よって,田中正弘准教授は文献・訪問調査に基づく国際比較の手法を好んで活用しますが,他の研究アプローチ(史的・質的・量的調査)を得意とする学生も歓迎いたします。幸い,教育学域には多様な研究アプローチの専門家が在籍しているので,他の研究室との連携による活動を活発化させていきたいと存じます。

学生へのアピール

 高等教育論を修得した学生の活躍の場は様々な領域に広がりつつあります。一例として,高等教育を研究する専門家はもちろんのこと,大学教員能力開発の専門家(FDer),大学の諸活動に関する情報分析の専門家(IRer),大学の教育研究以外の専門的な業務を遂行する職員(高度専門職員)などが考えられます。

 本研究室は,多様なバックグランドを持ち,様々な問題意識を有する,そして,高等教育機関を少しでも良い組織にしたいと考える学生をお待ちしております。

このページに関するお問い合わせは、お問い合わせフォームをご利用ください。
なお、カリキュラムや入試等に関する頻出質問については、「よくある質問」ページに回答例を示しております。こちらのページもご参照ください。

PAGE TOP
Copyright © Degree Programs in Education, The College of Education, University of Tsukuba