教育学域

教員紹介

田中マリア

田中マリア

たなか まりあ
Maria Tanaka
職位 准教授
専門研究領域 道徳教育学
取得学位 博士(教育学)
E-mail education-mtanaka [_] human.tsukuba.ac.jp
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学生への一言 「稽古照今」(いにしえをかんがえ、いまをてらす)という言葉があります。昔を学ぶことを通じて今を明らかにしていくという教えです。いつの、どこの昔を学ぶかによって照らされる事柄も変わってくることでしょう。例えば、フランス革命前夜という激動の時代を控え、『エミール』という教育書を著したルソーは、「「生きること」それが私の生徒に教えたい職業だ」と述べています。今私たちの生きる時代も変化が激しく、ともすると目の前にある幸せや自分自身さえ見失いかねない時代です。そのような時代にあって、いかなる時代、いかなる国、いかなる場所、いかなる環境になったとしても自分自身を見失わず、幸福を感じながら生き抜ける、そんな教育の在り方について考えてみるのもよいでしょう。はたまた、まったく別の素材や切り口から批判的に検討してみるのもよいでしょう。とにかく、せっかく読み書き考える教育を受けてきたのですから、いまこそ、本当に学習を始めるべきときです。是非、学ぶことを楽しんでください。

経歴

山梨県生まれ。二松學舍大学文学部中国文学科卒。山梨大学大学院教育学研究科修士課程学校教育学専攻修了。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程学校教育学専攻修了。八洲学園大学生涯学習学部家庭教育専攻講師を経て、平成22年に国立大学法人筑波大学大学院人間総合科学研究科助教に着任。平成28年より現職。

研究分野

道徳教育学

研究テーマの概要

物質的な豊かさとは裏腹に、今日、世界中、至るところで様々な緊張関係が見られます。グローバルとローカル、伝統と革新、精神的なものと物質的なもの等々。可能性が広がった分だけ、いくつもの正しさや諸権利がぶつかり合い、疲弊し、幸福感から遠のくことも少なくありません。このような時代にあって、本当に「すべての人」のための「道徳教育」とは何なのか。「倫理、宗教、思想」のなかに、人間の「人格」に関わる教育の妥当性と可能性を探究しています。

1、18世紀フランスの啓蒙思想家、J.J.Rousseauの教育思想について、その人格形成論における宗教と道徳の関係の把握、解明。
2、スイスの価値教育、とりわけ倫理、宗教文化、市民性の教育を手がかりに、日本の道徳教育との比較、検討。および人権教育、ヨーロッパ評議会による人権教育マニュアル(『コンパス』、『コンパシート』)のアクティビティを通した授業分析、実践。
3、和文化、とくに能楽(狂言)のお稽古および舞台発表を通して、日本の修養思想およびその伝承方法に関する体験、考察。

以上、近代と前近代、宗教と科学、国際社会と日本、思想と実践などなど、特定の枠組みに固定されぬよう、射程を広く置きながら、竹のように強くしなやかな発想をと心掛けつつ、過去、現代、未来へとたゆたっています。

主要著書・論文

・「スイスPER」における幼児用哲学教材にみる価値教育の一例―「秘密(Secret)」に焦点をあてて―、『道徳教育研究』第22号、2021年3月、pp.12-25.(細戸一佳と共著)
・「スイスPER」における「倫理と宗教文化」教育の現状と課題、『倫理道徳教育研究』第三号、2020年3月、pp.1 – 15.(細戸一佳, デルヴロワ・ミカエルと共著)
・『教育キーワード155』藤田晃之他編著、時事通信社  2019年7月 (「学校教育の中の宗教」、「家庭教育」、「特別活動」を担当)
・坂倉裕治『〈期待という病〉はいかにして不幸を招くのか―ルソー『エミール』 を読み直す―』日本18世紀学会年報 (34)、2019年6月、pp. 113 – 115.(書評) 
・民主的な意思決定への理解を深める学習活動―教職科目「特別活動および総合的な学習の時間指導法の実践に向けて― 『道徳教育研究 』第20号、2019年3月 、pp. 33 – 54.
・『エミール』の女子教育論再考、『道徳教育研究』第19号、2018年3月、pp.17 – 30.
・『道徳教育』MINERVAはじめて学ぶ教職第12巻ミネルヴァ書房 、2018年5月(編著)
・スイスフランス語圏における市民性教育の進展―価値教育と言語教育の融合への動き―『倫理道徳教育研究』創刊号 、2017年12月、pp.53 – 66(細戸一佳, デルヴロワ・ミカエルと共著)
・「考え、感じ、行動する」主体的で実践的な学びへの挑戦―道徳教育の質的転換をめざして― 平成28年度文部科学省「道徳教育の抜本的改善・充実に係る支援事業」(委託)成果報告書 2017年3月
・『学校教育の戦後70年史』日本児童教育振興財団編、小学館 、2016年6月 (「道徳教育」を担当)
・Tanaka,Maria,Étude relative à la formation des compétences pour l’activité autonome dans l’enseignement primaire- vers une comparaison des mauels suisses et japonais d’éduction à la citoyenneté – 『道徳教育研究』第17号、2016年3月 pp,15 – 36
・<図書紹介>DROUIN-HANS A.-M., FABRE M., KAMBOUCHNER D. et VERGNIOUX 『フランス教育学会紀要』2015年9月
・「伝統の継承」と「文化の創造」について考える道徳教材―能楽師狂言方の生き方の比較を題材として― 、『道徳教育研究』第15号、2014年、pp.1 – 12 
・ルソーの教育思想における「生きること」の意味―『エミールとソフィ』「第一の手紙」に焦点をあてて― 『人間教育の探究』第25号)、2013年6月、pp.27 – 46

所属学会、その他の研究活動

日本倫理道徳教育学会、教育思想史学会、教育哲学会、日本18世紀学会、日本ペスタロッチー・フレーベル学会、日本教育学会、関東教育学会、特別活動学会、吉次郎狂言会

担当授業

教育学学位プログラム:道徳教育学研究法
教育基礎科学プログラム:道徳教育学特講、道徳教育学演習
次世代学校教育創成プログラム:道徳と人権
教育学類:教育基礎論、比較道徳教育論、教育思想論、人権・平和教育論
教職担当科目:道徳Ⅰ、道徳Ⅱ、特別活動の理論と実践

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