日本教育史
担当教員
専門研究領域の沿革と概要
教育史はこれまで教育学の基礎領域に属し,教育学のなかでは「伝統」的分野とみられてきました。ですが,近代社会の行き詰まりや国民国家の動揺に伴ってさまざまな問題が露呈し,グローバル化のなかで在来の教育システムが根底的に問われるようになった現在,教育学の基礎領域という自明性はもはや過去のものとなり,歴史を学ぶ意義を以前と同様に語ることは困難になってきたように思います。
その一方で,これはグローバル化の言説作用なのかもしれませんが,現代の教育をめぐって,歴史をまるで閑却・黙殺した語り方や,歴史を都合よく解釈してそこに居直るような語り口も,しばしばみうけられるように思います。教育史研究はいま,研究蓄積と格闘し,自己刷新を図りながら,こうしたアポリアに満ちた状況に果断にチャレンジしている――そう考えたいと思います。
これまで数多くの研究者などが輩出され,学界や教育界などの第一線で活躍しています。2011(平成23)年度に入って,これを書いている平田諭治(准教授)が着任しました。こちらを巣立った方々はもちろん,多くの方々に教えを乞いたいと思っています。
所属院生とテーマ
院 生 | 研究テーマ |
青柳 翔也 | 音楽と教育の関係史 |
蓮池 重代 | 帝国日本の教員養成と教育学 |
研究室活動の特色
当たり前のことと思いますが,問題意識を研ぎ澄ましながら,先行研究の把握と検討,歴史資料の探索と読解など,時間はかかっても丁寧にやっていきましょう。また他分野・異領域にもアンテナを張って,多面的に課題を考えていきましょう。そして自己/他者の生と,どこかで切り結ぶような研究をしていきましょう。研究会は少人数ですが、学類生などを交えて定期的に開催し、時間の制約を設けないで行っています。
学生へのアピール
「日本」も「教育」も「(歴)史」も,いずれもこんにち再審にさらされています。そのことに対して,無関心を装うことだってできますが,そうした態度はとらず,もがきながら向き合いつづける方を選びます。現前する「いま・ここ」とは別様の,ありえたかもしれない世界の契機を掘り起こし,未発の可能性を未来の想像=創造へと招き入れてみましょう。
教員(平田)の研究関心は,「近現代日本の教育とナショナリズム/オリエンタリズム/コロニアリズム」にあり,国際的そして帝国的な関係・交流・越境の位相に照明を当てて論文化に努めています。本サイトの「教員紹介」をよくご覧になり,いくつか研究物を実際に手にとってみてください。担当教員が「どこが強いのか(弱いのか)」を知ることは,教員を上手に「活用」するための第一歩です。