社会科教育学
担当教員
唐木清志 からき きよし KARAKI Kiyoshi
國分麻里 こくぶ まり KOKUBU Mari
金 玹辰 きむ ひょんじん KIM Hyunjin
専門研究領域の沿革
筑波大学の社会科教育学分野は、戦後いち早く全国に先駆けて設けられた研究分野であり、広島大学と並んで最も伝統のある研究室である。東京教育大学では、教育学科の学生のための社会科教育特講・演習なども開講されるようになり、社会科教育学研究室は名実共に整備されることとなった。東京教育大学発足以来、本部を社会科教育学研究室に置き日本社会科教育学会の運営、発展に大きく寄与した。筑波大学の社会科教育学の基礎は、東京教育大学時代から引き継いでいる。在校生とその研究テーマ
後期3年:得居千照 学校教育における哲学対話に関する研究
後期3年:大脇和志 小学校社会科政治教育における子どもの政治意識の形成過程の研究
後期3年:前嶋 匠 「構造的暴力」の視点に立った公民科教材の開発原理とその評価
後期3年:熊本秀子 戦時下における女子中等教育学校の生徒の生活に関する研究
後期3年:Hyun Jaegyun 日韓におけるグローバル∙シティズンシップ意識に関する比較研究
後期3年:松婷 満州国における郷土教育に関する研究
後期3年:張傳博 社会系教科を担当する教師のライフヒストリーに関する日中比較研究
後期3年:中山正則 埼玉県川口プランを中核とした社会科成立史研究
後期2年:真島聖子 社会科授業における「聴き合う」参加構造の研究
後期2年:XIE CONG 中学校社会科授業における教師の実践的知識に関する研究
後期1年:池田泰弘 法教育における法的技能を活用する学習単元開発研究
後期1年:Yun Cheuk Wing 学校教育における「国家」の正当化メカニズムに関する実証的研究
前期1年:佐藤美涼 歴史教育における地域資料活用に関する研究
前期1年:土屋うらら マジョリティを対象とした先住民族史教育に関する研究
前期1年(ダブルディグリー):尚夢雅 高等学校公民科「公共」における法教育の効果に関する実証的研究
入学者出身大学と勤務先
(1) 入学者出身大学:上越教育大学大学院、筑波大学大学院教育研究科、東京学芸大学大学院教育学研究科、東洋大学文学部、新潟大学教育学部、愛知教育大学大学院教育研究科、埼玉大学教育学部、慶應義塾大学文学部、梨花女子大学校大学院、高麗大学校大学院、茨城大学教育学部、一橋大学社会学部、秋田大学教育文化学部、福岡教育大学教育学部、中央大学法学部、鳥取大学地域学部、筑波大学教育学類・人文学類他。
(2) 勤務先・職:秋田大学教授、茨城大学教授・助教、宇都宮大学教授、信州大学教授・准教授、埼玉大学教授・准教授、静岡大学准教授、筑波大学教授、筑波大学准教授、東京学芸大学教授、宮城教育大学教授、早稲田大学教授、明治学院大学准教授、鹿児島女子短大教授、東京福祉大学准教授、麗澤大学准教授、東北学院大学准教授、群馬大学准教授、東海大学准教授、釜山教育大学校准教授、高崎経済大学准教授、東洋大学教授、常磐大学准教授、常葉大学准教授、名古屋学院大学准教授、白百合女子大学准教授、お茶の水女子大学講師、静岡福祉大学助教、他。博士学位取得者
(1) 課程博士(課程博士規準)
氏名 |
研究テーマ |
取得年 |
南景煕 |
日本の社会科における消費者教育に関する研究 |
1993 |
李明煕 |
コリングウッド歴史哲学に基づく「追体験的歴史学習」理論の構成 |
1997 |
井門正美 |
社会科における役割体験学習論の構想 |
1998 |
外池智 |
昭和初期における郷土教育の施策と実践に関する研究 |
1999 |
Hla Hla Win |
A Modification on the Curriculum Development of Myanmar’s Geography Education: Focusing on Japan and Myanmar’s Junior High School Level |
2000 |
Cho Cho Myint |
Economic Knowledge,Skills,and Attitudes of High School Students : Comparative Study between Myanmar and Japan |
2001 |
國分麻里 |
植民地期朝鮮の普通学校における「朝鮮事歴」の研究 |
2008 |
金玹辰 |
「地理的探求に基づく学習」を促す地理カリキュラムの構成に関する研究 |
2010 |
内山知一 |
米国「国際教育」の構造に関する研究 |
2012 |
梁炳逸 |
景観の意味づけにおける地理的思考に関する研究 |
2012 |
篠﨑正典 |
長野県師範学校男子部附属小学校における社会科学習指導の確立過程に関する研究 |
2017 |
呂光暁 |
小学校社会科における経済的思考の育成 |
2017 |
村井大介 |
公民科教師のライフストーリー研究 |
2018 |
久保園梓 |
アメリカ合衆国における子どものエンパワメントを重視した市民性教育の理論と方法 |
2021 |
早瀬博典 |
アメリカ社会科におけるインクルージョンの理念と方略 |
2022 |
須賀忠芳 |
観光歴史教育の理論と実践の研究 |
2022 |
Yang JaYeon |
学習者理解を促す「地理学習スタイル」に関する研究 |
2022 |
金久保響子 |
移民の子どもたちにとって社会科教育が持つ意義に関する研究 |
2023 |
(2) 論文博士
氏名 |
研究テーマ |
取得年 |
横山十四男 |
義民伝承の研究 |
1984 |
谷川彰英 |
柳田国男における教育思想形成と社会科教育論の展開 |
1996 |
阪上順夫 |
現代における政治教育の研究 |
1999 |
朝倉隆太郎 |
中学校の校歌にうたわれている山地に関する地理教育学的研究 |
2000 |
唐木清志 |
アメリカ公民教育におけるサービスラーニングに関する研究 |
2007 |
川﨑誠司 |
多文化社会における「エクイティ教授」論に関する研究 |
2009 |
桐谷正信 |
アメリカにおける多文化的歴史カリキュラムに関する研究 |
2010 |
在校生の声
社会科教育学研究室では、各院生が自ら関心のあるテーマを見つけて、研究していく精神が貫かれています。研究に関する自由が最大限に尊重されますが、だからこそ自分の研究に対する「自信」がなかなか持てず、たまに研究を進める「勇気」が持続しないこともあります。そのような時は、指導教員の方々に自分の研究の意義および研究内容や方法について徹底的に検討してもらうことで、研究を再認識し、再び前進するエネルギーを得ています。現在、三人の先生から一度に研究指導を受ける「総合指導」、各教員が担当するゼミや授業、総合指導後の院生同士で行う勉強会を中心に研究活動を進めています。学内の研究活動とともに、野外調査を実施したり、学会・研究会等に参加したりして力を蓄え、全体的な研究水準の向上を目指しています。また、OB・OGなどさまざまな先輩方とのつながりの中で研究に取り組めることも、本研究室の大きな魅力です。
OB・OGの声
院生時代は、研究分野に関する最新の情報を集め、今後の動向を予想しながら、その一方で不易なことや一般性、その汎用性を追究し、理論と実践を往還させることが求められていました。多くの先生方のご指導や院生の方々からの指摘をふまえ、何度も自分の研究を見直す、ゴールのない作業を繰り返していたように思えます。自分の研究に向き合い、深めることは、精神的に厳しいものですが、得られることは大きいと信じています。
本学で学んだことは自分の研究を深めることだけではありません。研究のイロハについて学び、自らの人生を振り返る、自らの在り方生き方を考えるよい機会となりました。現在は、その経験を仕事に活かそうと取り組んでいます。また、院生時代における研鑽は、研究の質を高めるだけでなく、自分の研究に自信と責任をもち、仕事を行っていく上で不可欠であると実感するようになりました。
これまでの自分の研究をさらに一歩進めてみたい方、先生方の研究室をたずねてみてはいかがですか。
(名古屋学院大学 國原幸一朗)