教員紹介

國分麻里

こくぶ　まり

Mari Kokubu

経歴

筑波大学大学院人間総合科学研究科博士課程学校教育学専攻(社会科教育)修了

研究分野

社会科教育、歴史教育、近代朝鮮教育史、韓国、ジェンダー

研究テーマの概要

　研究分野の中で、ここ数年特に関心を持って研究・活動を進めるのは以下の5つです。

　1点目は、歴史教育の国際比較です。その中でも特に韓国の近現代の歴史教育に関心を持ち続けています。歴史問題や領土問題など、韓国からの日本への反発の背景に歴史教育をあげる書籍も見られます。研究の世界ではどうなのでしょうか。韓国・朝鮮半島の文脈に即して、韓国の近現代の歴史教育について研究を続けています。2015年には近現代の韓国歴史教育を整理した訳書を出版しました。2024年度は、2000年代以降の韓国歴史教育を「過去事の清算」という切り口で本にまとめる予定です。韓国の人々はどのような内容や方法、認識で歴史教育を行っているのか、日本の多くの皆さんと共有していきたいと考えています。

　2点目は、社会科教育とジェンダーに関する研究です。日本の中学校・高校において、社会科(地理歴史科・公民科)の女性教員は多くありません。また以前より増えてはいますが、社会の半数を占める女性の姿が社会科教科書にたくさん描かれているとは言えません。なぜ社会科に女性教員が少ないのか、またそのことが今の日本社会の現状や問題とどのような関係があるのかなど、社会科教育自体の枠組みも含めて社会科教育とジェンダーの関係に大きな関心を寄せています。こうした問題意識から『女性の視点でつくる社会科授業』(学文社、2018)の編集に携わりました。2023年には続編として『女性の視点でつくるジェンダー平等教育－社会科を中心とした授業実践』(明石書店)を刊行しました。

　3点目は、茨城県を中心とした戦前・戦後の新教育および社会科教育の研究です。1945年の敗戦以後、茨城県でも新教育が進められました。特に1947年より開始されたSocial Studiesは社会科と命名され、教科の中心として華々しく登場しました。問題解決学習と経験主義を基礎として多くのカリキュラムや実践が生まれ、茨城もその流れの中にありました。研究論文として整理した筑波第一小学校や水海道小学校を踏まえ、今後は茨城県全体の初期社会科の動きを整理して本にまとめていく予定です。

　4点目は、近代朝鮮における朝鮮人児童生徒の生活や学びの実態の研究です。調査時に各学校で出された学校100年史や学籍簿など様々な史資料に触れる機会があり、植民地下での朝鮮人児童生徒の学校生活やそこでの学びに大きな関心を持っています。

　5点目は、日本と韓国の大学生交流とその認識に関する研究です。近年、日本では映画やk-popなど韓国に関心を持つ若い人々が今までになく増えています。歴史にとどまらず、これまで以上に相手国を知り、民間交流を積極的に進めていく必要性を感じています。コロナ禍で始めた日韓大学生の交流も今年で4年目となり、オンラインに加えて対面交流も始まりました。いかなる同世代交流により、どのような認識変化があるのかなどを調査研究します。

主要著書・論文

・井田仁康監修、編者『Well-beingをめざす社会科教育－人権／平和／文化多様性／国際理解／環境・まちづくり－』古今書院2024。
・編者『女性の視点でつくるジェンダー平等教育－社会科を中心とした授業実践－』明石書店2023。
・編者『交流史から学ぶ東アジア－食・人・歴史でつくる教材と授業実践－』 明石書店2018。
・江口勇治監修、編者『21世紀の教育に求められる「社会的な見方・考え方」』帝国書院2018。
・編者『女性の視点でつくる社会科授業』 学文社2018。
・金漢宗著、訳者『韓国の歴史教育－皇国臣民教育から教科書問題まで－』明石書店2015。
・著者『植民地期朝鮮の歴史教育－「朝鮮事歴」の教授をめぐって－』新幹社2010。

所属学会、その他の研究活動

日本社会科教育学会、教育史学会、アジア教育史学会、全国社会科教育学会、朝鮮史研究会など。

担当授業

【学部】
中等社会・地理歴史科教育法Ⅱ(教職)
社会科歴史指導法(教職)
アジア教育史
アジア教育史演習
教育学研究法Ａ(文献研究)

【大学院】
歴史教育特講・演習(博士前期)
社会科教育学内容論・実践論(地理歴史)(博士前期))
歴史教育学研究(博士前期)
社会科教育学研究法ⅠⅡ(博士後期)
教育学特論ⅠⅡ(博士後期)