特別活動学

京免 徹雄 KYOMEN Tetsuo

専門研究領域の沿革と概要

 特別活動学研究室が発足したのは、2019(平成31)年4月のことです。まだ歴史の浅い、別の見方をすれば、これからの可能性を秘めた研究分野といえます。

 研究対象は学校における「教科以外の活動」であり、特に特別活動(学級活動・ホームルーム活動、児童会活動・生徒会活動、学校行事、クラブ活動)、部活動等の課外活動、キャリア教育になります。これらに共通する特徴は、集団における協働や子ども自身による自治的活動を通して、平和で民主的な社会の形成および自己実現に必要な資質・能力を育てることにあります。
 学問としての特別活動学は、「関係性(あいだ)の教育学」と言い換えることができるでしょう。その中心は、個人と個人、あるいは個人と集団といったヒトの関係性にありますが、同時に教科と教科外活動、非日常的活動と常時活動といったカリキュラムの関係性や、学校と社会といった組織や空間の関係性も射程に収めています。子どもを教育の主体として中心に置きつつ、いかなる関係性を編むことが個人と社会の幸福につながるのか、ホリスティックに追究していくことに学問的特質があります。

所属院生とテーマ

院生氏名

研究テーマ

武田 勲(博士後期課程1年)

フランス中等教育における学校キャリア・カウンセラーの専門性に関する研究

―求められる能力・養成制度の変容―

相庭貴行(博士後期課程1年)

宮坂哲文の自治活動論における個-集団関係

―米国教科外活動論の位置づけの変化に着目して―

小田純也(博士前期課程2年)

発達障害児の学級集団内における役割の変容と獲得

―共生に向けた教師の信念に着目して―

 

修了生とテーマ

修了生氏名

研究テーマ

キンイキ(博士前期課程2021年度修了)

中国の高等学校におけるキャリア・カウンセリングの課題と展望

−生徒の多様なニーズへの対応に着目して−    

 

研究室活動の特色

 重要な研究課題として、特別活動の特徴である子どもの自治的な集団活動(生活づくり)をどのようにして1人1人のキャリア形成につなげていくのか、その際に教師はいかなる役割を果たす必要があるのか、ということがあります。

 特に近年は、特別活動が社会情動的(非認知的)スキルの発達に有効であるとして、海外から注目されており、日本型教育モデルTokkatsuがエジプトなどに輸出されています。しかし、特別活動の国際的特質はどのようなもので、それがいかなるメカニズムで子どもの資質・能力を伸ばすことができるかについては、まだ分かっていないことも少なくありません。特別活動研究室では、これらの解明に努めることで、子どものWell-beingと社会のWell-beingを調和的に実現することを目指します。

学生へのアピール

 「特別活動」は時間割に存在しないこともあって、一般の人にとってはあまりなじみのない用語かもしれません。しかし、学級会、生徒会、クラブ、運動会、卒業式、修学旅行などを知らない人は、いないはずです。日本で「ガラパゴス」的に発展し、長期にわたって継続されてきたこれらの活動は、日本人にとって当たり前の教育文化であるがゆえに、あまり学術研究の対象にされてきませんでした。
 ブラックボックス化されている特別活動の特質やメカニズムを科学することは、国際的に優位にある欧米の教育モデルにはない、日本型教育の強み(と弱みを)を再発見することにつながります。さらには、西洋と異なる東洋の文化や価値の視点からその意義を再評価することで、欧米から輸入された教育学(pedagogy)を相対化し、東洋発の教育学を構築することにも貢献できると考えています。

研究室の活動
・筑波大学特別活動研究会(ゼミ)

活動のようす

 

・ワークショップコレクション in キャリ☆フェス神栖2022への出展
 「筑波大学生と未来をつかめ!―リアル人生すごろくに挑戦―」

 

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